【参考書レビュー】『英語のハノン 初級』5ヶ月使用して気づいた「ハノン効果」

皆さん、こんにちは。
渡辺です。

今回は、参考書の紹介になります。

タイトルは、、、

『英語のハノン(初級)』

最近、SNSの英語学習者の中で話題となっている参考書です。

私も7月に購入して以来、この参考書の音読に取り組んでおり、徐々にその効果を感じ始めています。

ということで、本書がどのような本で、どのような特徴があって、そして私がどのように使用しているかをお伝えします。

目次

『英語のハノン』とは

本書は従来の「文法知識を身につけるための参考書」ではなく、「話すためのトレーニング本」と言った方がピッタリです。

おそらく、私たちの多くは学校で学んだ英文法を「知っている」ことはあっても「使える」レベルまでは到達していないはず。

経験からもわかるように、

「知っている」=「使える」

ではないですよね?

さらに、この間には想像以上に大きな差があります。

そこで登場したのが、、、

今回ご紹介する『英語のハノン(初級)』

今まではその差を埋めるため、単語帳の例文を何度も繰り返したり、お気に入りの映画のセリフを練習したりするなど、学習者自身が独自の学習方法を確立しなければなりませんでした。

しかし本書では、記載されているドリルに取り組むだけで、英語の「リズム」や「イントネーション」といった話すために必要な力を身につけることができます。

「精選された例文」

「膨大な量のドリル(演習)」

「読み上げられる音声と音声の絶妙な間」

などなど、従来の参考書にはない特徴が私たちのスピーキング力をジワジワと高めてくれます。

本書は「1,2ヶ月だけ取り組めば終わり!」といった類の参考書ではないので、生涯に渡って使用できるという特徴もあります。

「日々地道に努力を積み重ねる」

これこそが英語力を向上させるコツですが、そうした点においても、本書は語学習得の本質を的確に捉えており、かつ私たち日本人に適した学習方法を提示しているように感じます。

『英語のハノン』を購入した理由

一言でいうと、著書である横山雅彦先生のファンだからです(笑)

もう少し説明すると、横山先生の存在を知ったのはSNS。

そこでは、先生が英語の学習方法や日本の英語教育に対する投げかけ、そして『英語のハノン』に込めた想いなど様々なことを発信しています。

そうした横山先生の意見や考えに一英語学習者(または指導者)として共感する部分が多く、そうしたことが本書を購入するきっかけとなりました。(今ではSNSで話題になっていたり、Amazonではベストセラーになっていたりとすごいことになっていますね^^;)

ちなみに購入したのは、今年の7月中旬。

英検1級2次試験が終わり、「スピーキング力をもっと伸ばしたい!」という気持ちが強かった時でした。

特に、副題の ”やりなおし” ”ドリル” という2つのキーワードにも心惹かれたことを今でも覚えています。

そして、ここから『英語のハノン』との付き合いが始まります。

『英語のハノン』「ここがいいよね!」4つの特徴

ここでは、私が「これは!」と思う本書の特徴を4つご紹介します。

① 英音法(えいおんぽう)が学べる

「えっ、英音法ってなに?」

と思われる方も多いかもしれませんが、簡単に言うと「音変化のルール」です。(フォニックスとはまた違います)

例えば、

“Did you 〜?”

“ディドゥ ユー”  →  “ディッジュー” (同化)

“What are you 〜?”

“ワット アー ユー” → “ワッラユー”(脱落)

などなど、英語は話すスピードが速くなればなるほど、こういった現象が起きます。

ルールを知っておけば、今後リスニングする際はもちろん、スピーキングにも活用することができ、今後の英語学習を飛躍的に伸ばすことができます。

学校でも何となく学んだことはあると思いますが、こうした「音変化のルール」をきちんと知っておくことはとても大切なこと。

本書では、「スピーキングのための英文法」というだけあり、音の変化についてもしっかり学ぶことができます。

私も今まで数多くの参考書を見てきましたが、英文法と英音法(音変化のルール)が一体となっている参考者は本書が初めてです。

② 英文法が無理なく学び直せる

「英語から長く離れていた学習者でも無理なく進められる」

これも本書の特徴です。

多くの参考書は、それぞれの文法について細かい説明があるため、もう一度やり直したい方にとっては情報量が多すぎる傾向があります。

しかし本書は、内容が必要最小限におさえられているため、サクサクと読み進めることができます。

また、構成も「説明→例文→ドリル(演習)」といった流れであるため、知識の獲得から定着までをスムーズにおこなうことができます。

したがって、英語学習から長期間ブランクがあったり、学び直しを目的にされる方にとっても非常に取り組みやすいものとなっています。

一つ注意点があるとすれば、比較、接続詞、仮定法などのいくつかの文法は取り扱っていないということ。

ですので、「文法をマスターしたい」という方はその点を押さえておくと良いでしょう。(今後、「中級」「上級」も出版される予定なので、全て揃えるとほぼ文法事項は網羅できるかもしれません)

【追記:2021年12月16日】

現在「中級」が出版され、接続詞や比較などの例文も練習できるようになりました。

③ 大量かつ質の高い英文でドリル(演習)ができる

これこそが本書の特筆すべき点。

②で獲得した知識を、大量のドリルに取り組むことで、頭ではなく「身体」に覚えさせていきます。

 

具体例を挙げると、こんな感じです。

I play soccer.  (We) 私はサッカーをします

We play soccer. (He) 私たちはサッカーをします

→ He plays soccer. (否定文) 彼はサッカーをします

→ He doesn’t play soccer. 彼はサッカーをしません 

 

音声に従い、上記のように変化させていきます。

一見すると、簡単そうに見えますよね。

しかし、ある程度の英語学習者であっても

主語の入れ替え

・肯定文→否定文

・肯定文→疑問文

「瞬時」に変化させていくことは意外と難しいことに気づきます。

そして、本書の音声間のポーズ(間)がこれまた絶妙で、噛まずにスラスラと言わない限り、次々と押し寄せる音声に自分の声がかき消されてしまいます。

この方式が学習者に程よい緊張感を与え、集中しなければならない状態を作り出してくれます。

これこそが、従来の参考書にはない斬新なポイント。

また、音声速度が「スロー」「ナチュラル」の2種類用意されているため、自分のレベルに応じて取り組むことができます。

さらに!

音声速度にプラスして、「開本(本を開いた状態)」または「閉本(本を閉じた状態)」かを組み合わせることで、難易度を調節することができるのです。

もう、素晴らしすぎて言葉が出てきませんね^^

④ 耳だけで学べる

音声さえあれば、ちょっとしたスキマ時間にも取り組むことができます。

例えば、通学や通勤中に耳学することも可能です。

現在はマスク生活が当たり前になっているので、そうした環境を最大限に活かすこともできますね。

人がいないところでは声を出してリピート、人がいるところではマスクの中で口パク、なんてこともできますので、いつでもどこでも練習することができます。

私はいつも朝に散歩をしているのですが、散歩と共にハノン音読が日課になっています。

20分程度の散歩ですが、「運動 + 音読」ができるので、とても生産性の高い時間が過ごせているなと我ながら思います(笑)

音声についてですが、

「トラック数 253」 

「収録時間 9時間30分」

と圧倒的ボリュームなので、非常にやりごたえのある内容だと言えるでしょう。

計算してみましたが、毎日20分音読したとしても、全て聴き終わるのに約1ヶ月かかります。

したがって、本書1冊に取り組むだけで相当なトレーニングができるわけです。

私の説明も徐々に熱量が上がってきましたが、もう一点だけこの音源の素晴らしいところを紹介させてください!

それは、、、

「1トラックで扱う英文が5つ!」

ということ。

この5文という量が多すぎず、かつ少なすぎずと絶妙なのです。

ですので、ちょっとしたスキマ時間ができた時にもサクッと取り組めますし、「あれ?聞き取れないな」と思った時は、リピートモードにして気になるところだけを繰り返し聴くことも容易にできます。

『英語のハノン』私の使用方法とその効果

まず、今までの学習を振り返ると、、、

左から7, 8, 9, 10, 11, 12月の記録

・現在4周目(開始から6ヶ月)

・総学習時間:約35時間

このような感じになります。

では、私がどのように本書を使用してきたかを周回毎に説明します。

1周目

本書を最初から最後まで丁寧に読み込み、練習問題は英文を見ながら音読していました。(いわゆる開本です)

率直に言うと、1周目は「本書の良さが分からない状態」でした。

しかし、「とりあえず1周はやる!」という気持ちがあったので、毎日コツコツと進めていました。(1周目はモチベーションが低く、1ヶ月以上かかりましたね^^;)

2周目

全体像が大まかに理解できたので、本は持ち歩かずに音読開始。

時々、theやaといった冠詞などが聞き取れないこともありましたが、その場合は必ず後から確認するようにしていました。(こうした冠詞や前置詞、三単現のsといった機能語の聞き取りは難しいですよね)

学習時間は毎日20〜25分、朝の散歩をしながら取り組むようにしていました。

早朝だと人通りも少ないため、普段話すくらいの音量で取り組めますし、何よりジェスチャーも入れながらできるので非常にオススメです。

3周目

3周目も2周目とやり方は同じ。

ですので、ここでは「3周目で感じた変化」についてお伝えします。

① スラスラと口から英語が出てくる

短い英文限定ですが、英語がスムーズに口から出ていく感じ、というより、英語が勝手に口から出てくる感じですね。

毎日同じ動作を繰り返していると、その行動が無意識でおこなわれるようになると思いますが、まさしくそのような感覚で音読ができるようになってきたなと感じます。

② 音読時のイメージが「文字」から「場面」へと変わる

①の状態になると気持ちにも余裕が出てくるためか、英文の使用場面が頭に浮かび上がるようになりました。

繰り返し音読してきたことで、英文の持つイメージが強化され、それらが自分の言葉になりつつあるのかもしれません。

③ どんな時もリピートしてしまう

これはTOEICの勉強をしている時に感じたこと。

リスニングパートを復習している時、ハノン音読するように問題文をすぐさまリピートしている自分がいることに気づきました。

意識はしていませんでしたが、「音声を聴く→リピートする」という一連の流れが自分の中に定着しているなと思った瞬間でした。

*特にTOEICのパート2(短い設問に対して、提示される3つの回答から適切なものを1つ選択するという問題)は、3つの回答の間にちょうど良いポーズがあるので、練習するにはとても良い素材だなと思いました。

4周目以降について

今後も、基本的には今のスタイルで学習していく予定です。

そして最終的には、後半パートで出てくるような長い英文もスラスラと言えるレベル、つまり「使えるレベル」まで引き上げていきたいなと考えています。

まだまだ道のりは長いですが、日々コツコツと音読を続けていきたいと思います。

『英語のハノン』オススメできる人・できない人

最後は、『英語のハノン』をオススメできる人・できない人について。

オススメできる人

① スピーキング力を伸ばしたい人

「学習した英文法を実践レベルまで落とし込みたい!」そう思われている方にはピッタリの教材です。

巷には「英会話フレーズ集」のような定型句が集められた書籍も多数ありますが、そうしたものは即効性がある反面、汎用性が低いですよね。

したがって、基本的な文法をおさえつつ、それらを応用して幅広い表現を身につけたい人にはオススメです。

② 英文法を勉強したことがある人

『ジーニアス総合英語』『総合英語Forest』といった「the 文法書」ではないため、ある程度の文法知識があった方がサクサク進められる気がします。

③ コツコツと続けられる人

本書にも記載されていますが、日々地道に取り組むことが推奨されています。

身につけた知識を使いこなすためには、圧倒的な「時間」と「練習量」は絶対必要です。

「話せるようになりたい!」という強い意志を持っていることが大切だと思います。

オススメできない人

① 資格試験の合格を目指す人

例えば、英検等の試験については出題されるテーマが決められていますよね。

合格を狙うのであれば、過去問を分析し徹底的に反復練習する方が効率的だと思います。

やはり、試験には試験用の対策が一番ということです。(「英検1級2次試験の学習方法について」の記事はこちら

② 小学生や中学生など英語を初めて学ぶ人

英文法を一度も学んだことがない小学生や中学生にはオススメしません。

一度でいいのでサラッと全体像を掴んでから取り組む方がベターです。

また、本書にはイラストが一切なく文字も白黒なので、「見ていて楽しい」といったエンタメ要素は少ないです。

こうした点も小・中学生にはオススメできない理由となります。

③ 短期間で効果を出したい人

「できるだけ短時間で、かつ楽な方法で英語を身につけたい!」

そう考えている方には、残念ながらオススメできません。

この記事内で何度もお伝えしていますが、学習者に根気強く、かつ辛抱強く練習していくことを求めている本書の趣旨と大きくかけ離れてしまいます。

このような考えをお持ちの方は別の参考書を購入した方がいいでしょう。

まとめ

ピアノの『HANON』と一緒に

いかがでしたか?

皆さんに私の『英語のハノン』への熱い想いが少しでも伝わったのなら幸いです(笑)

やはり、「英語力を伸ばす」という点においては、日々の努力が欠かせません。

本書はいわゆる「◯ヶ月で英語が話せるようになる!」といった即効性を売りにした参考書ではありません。

むしろ、地道にコツコツとやり込むことを学習者である私たちに訴えかけています。

私自身も教員時代を含め約10年英語を教えてきましたが、英語力を伸ばしていった生徒は例外なく毎日英語に触れていました。

言い換えれば、「毎日英語に触れることが英語力を伸ばすためには必要」とも言えるはず。

私は、今後もこの参考書でトレーニングを続けていきます。

そして、その効果を身をもって体験することで、さらに多くの方に『英語のハノン』の良さを広めていきたいと思います。

それでは、本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

皆様にとって、この記事が『英語のハノン』を手に取るきっかけとなれば幸いです。